|
|
この狭い国土で1億3000万人近い人間が飯を食っていられるのは、外国にモノを売って、その金で外国からエネルギー(食料としてのカロリーも含む)を輸入しているからだということはAHHさんも承知していると思います。
今、外国でモノが売れなくなって国民が喰っていけるだけの金が得られなくなりました。さあ、どうするか?
こういう状況下で「国内にモノを売ればいいじゃないか」というのは正解になり得ません。
日本は海外にモノを売り込む、という形で他国からある種の搾取を行い、世界第二位の経済大国の地位にいます。最近、搾取できる額が激減しました(日本のGDPを一気に10%以上押し下げるくらい)。
今後は搾取せずに生きていこうというのは言うのは簡単ですが、現実には耐え難い痛みを伴います。
例えば、輸出量を減らす為に工場を閉鎖します。そこで働いていた人は職を失い、彼らに衣食住を提供していた業者(工場近くのコンビニなど)も立ちゆかなくなります。更に工場に部品を納入している下請けの企業も潰れます。
突き詰めれば、輸出量が減った分だけ日本人が減ります。現に不況のしわ寄せを最も受けている若者は子供を作ることすらままなりません。自殺者もいっこうに減りません。
減った輸出を取り戻そうとしないのは、こうした状況を放置することに他なりません。国内の需要を喚起することも大切ではありますが、それはその減少分を埋めるには到底至らない量です。
AHHさんの仰る通り、作れば売れるという時代は終わりました――日本を含む先進国の中では。しかし新興国は今まさに作れば売れるという市場の段階に突入しています。日本やアメリカ(これまでの日本のお得意様)の消費が頭打ちになる一方で、インドや中国の消費が急増しており、おそらく今後も増えるでしょう。
そうした状況下で、伸びしろの少ない日本の市場に重点を置こうというのは間違った選択だと言わざるを得ません。政府や多くの企業が目論んでいる通り、のびしろの大きい新興国の市場のシェアをコンマ1%でも多く切り取ることで、失った外貨獲得の既得権を取り戻すことが日本の体力を回復する方法だと思います。
そして、そうした新興国に、日本人に売るモノと全く同じモノが売れるのか? もちろん日本人に売った経験が役に立つ部分はあるでしょう。しかしそれとは別に、海外の消費者に合わせた製品作りを欠かすことはできません。一人あたりGDPが1/10の消費者に、10倍のGDPを持つ消費者と同じものは売れないからです。年収が4000万の人に売れるものと、400万の人に売れるものとは違うのです。
仮に国内の振興を図るとしても、所得倍増というのは荒唐無稽です。以前も書きましたが、今の日本人は所得が倍になっても倍モノは買いません。所得を払うのは企業ですが、人件費が急増すれば従業員を減らそうとしたり、日本から出て行こうとします。どちらも国内の振興にはマイナスです。そもそもそんな計画を政府に許すはずがありません。
格差を是正して中流層(最も消費に寄与する層)を増やすとか、多少のレトリックを駆使してでも社会保障への信頼を高め、将来への不安を減らすというのが正着であろうと思います。ただし、この場合も海外への輸出の穴を国内の需要が埋めることはありません。
>経済的に失敗した文明は文明じゃないの?という問いです
資本主義が正しいとか、共産主義が間違ってるとか言ってるのではなくて、モノやヒトが動くところにしか文明は発達しませんよ、というつもりで書きました。
交易が盛んでないところにはコロッセオもビルも建ちません。
ソ連は少なくとも一時、東側と呼ばれた広大な経済圏(と見ることもできる)の中心にいたわけですから、私の考えに沿っても明らかに文明の前提を備えています。
また、こうした市場の切取り合戦の様相は、別に共産主義社会でもローマの時代でも普通に行われていたことですから、今後も無くなりはしないでしょう(ローマは地中海の交易で主導権を握るためにカルタゴを滅ぼしました)。日本はこの合戦に勝利し続けることに全力を注ぐべきであり、背を向けるべきではありません。
|
|